深夜3時

日々の生活のはみ出した感情。なんでもない日常。

真っ赤に熟したトマトの女

朝、起きて、


一番最初に思うことは「お金が無いこと」

次に「愛が足りてないこと」

最後に「昨日もちゃんと生き延びてしまったこと」だ。

 

 

要は私は無職で恋人もいなくて、早く死にたいって毎日思ってるってこと。

 

でも、別に自分は不幸だなんて思ってない。

 

実は昨日まで仕事をしていた。

 

辞めたきっかけは私がある日思いつきで髪を真っ赤に染めて出勤した事が原因だった。

 

私の頭の悪そうな姿をみて
「お前、なんなのその髪の色」

「トマト色です。夏なんで」

「そーゆーこと聞いてるんじゃねぇよ。社会人としてどうなんだって言ってんだ。」

「…どうなんですかね」

「明日もその頭なら来なくていいぞ」

 

私は、ちょっと間を置いて、「はい。」と答えた。

 

 

立派な社会人や大人なら髪は赤くしちゃいけないらしい。

 

馬鹿らしいと思った。

 

茶髪だった昨日までの私と、赤髪になった今日からの私で変わったものは何もないのに。

 

ひねくれた性格も、そこそこできちゃう仕事の要領も何も変わらないのに。

 

くだらない。

 

 

 

顔を洗うために洗面台の前に立つ。

 

私の頭は真っ赤に熟していた。