深夜3時

日々の生活のはみ出した感情。なんでもない日常。

真っ赤に熟したトマトの女

朝、起きて、


一番最初に思うことは「お金が無いこと」

次に「愛が足りてないこと」

最後に「昨日もちゃんと生き延びてしまったこと」だ。

 

 

要は私は無職で恋人もいなくて、早く死にたいって毎日思ってるってこと。

 

でも、別に自分は不幸だなんて思ってない。

 

実は昨日まで仕事をしていた。

 

辞めたきっかけは私がある日思いつきで髪を真っ赤に染めて出勤した事が原因だった。

 

私の頭の悪そうな姿をみて
「お前、なんなのその髪の色」

「トマト色です。夏なんで」

「そーゆーこと聞いてるんじゃねぇよ。社会人としてどうなんだって言ってんだ。」

「…どうなんですかね」

「明日もその頭なら来なくていいぞ」

 

私は、ちょっと間を置いて、「はい。」と答えた。

 

 

立派な社会人や大人なら髪は赤くしちゃいけないらしい。

 

馬鹿らしいと思った。

 

茶髪だった昨日までの私と、赤髪になった今日からの私で変わったものは何もないのに。

 

ひねくれた性格も、そこそこできちゃう仕事の要領も何も変わらないのに。

 

くだらない。

 

 

 

顔を洗うために洗面台の前に立つ。

 

私の頭は真っ赤に熟していた。

教えてもらったこと

馬鹿だと言われたら、

 

 

あぁ、そうか。自分は馬鹿なんだとそこで初めて認識する。

 

 

他人に言われるまで、気づかない。

 

 

知らない誰かの作った基準で、点数をつけられるまで、気づかない。

 

 

勝手に競争社会に入れられて、勝手に決められた枠組みの中で

 

 

順位をつけられるまで、気づかない。

 

 

自分が馬鹿だってこと。

 

 

教えてもらえなければ、もう少し自分を好きになれたのかな。

 

お酒に頼る

若いうちの飲み会は戦場だと、私は思う。



同期のあいつは、気の利く男。お酒もほどほどに上司のお酒は空いたことがない。相槌は空気のようでしっかりと話の流れを作ってる。


後輩のあいつは酒が強い。いくら飲んでも変わらない。


寡黙なあいつは仕事への熱い思いを隠しきれない。賢い上司はすぐ気づく。


隣のあのこの可愛いは正義。場にいるだけでマイナスイオン。おじいちゃん上司はあの子に夢中。


私は。
私はどうしよう。

私は今日も目の前のお酒をただ黙々とのむ。